【制作】竹の楽器をつくる(4)蟲笛とぐし笛

 

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竹の楽器づくりシリーーーーズ。だいぶ間が空いた。

 バリンビンをつくれるようになった。大島くんはエレキバリンビンを開発した。

 

僕は僕でオリジナル(と信じて疑わない)の楽器をつくった。

名付けて「ぐし笛(グシブエ)」である。

ぐし笛は蟲笛(ムシブエ)を作っているときに偶然生まれたのだ。

 

 

まずは蟲笛

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竹で蟲笛をつくった。これは振り回して演奏する。

風の谷のナウシカ」で、ナウシカがオームを呼ぶシーンで出てくる音具。

 

閉じている竹の節に、彫刻刀とヤスリを使ってスリットを入れる。

そして、振り回せるように紐をつけた。紐は水糸。

スリットとボディの大きさとかたちによって音が変化する。

 

音が鳴る仕組みは、笛やホイッスルと同じで、隙間を空気が通るときに音が鳴る。

振り回したときに、スリットから空気が出入りしてぴよぴよ音が鳴るのである。

 

調べてみたら、ほかにも作ってみた動画が少しあった。

ボディに羽をつけてスリットに空気が入りやすくしているものもあったが、僕は羽をつけずに鳴ったり鳴らなかったりするようにした。

一応、振り回す加減で出音を操作できる。回すスピード、紐の長さ、抑揚など。

 

・・・・

 

で、何個か蟲笛を作ったのだが、その工程はけっこう大変。

スリットを削って、振り回して、音聴いて、スリットを削って、振り回して、音聴いて、スリットを削って、振り回して、音聴いて、スリットを削って、振り回して、音聴いて、、、の繰り返しで音を調整していく。

ここで竹を削り過ぎたら失敗。修復不可能。

 

それは出音を調整する大切な工程である。楽器を作る上で一番重要で楽しい時間なんだけど、めんどくさがりの僕はこの工程を横着しはじめた。

 竹の節のボディで切り出す前に、発音部分のスリットを先に作って、それを振り回して音がどう鳴るか検証しはじめた。

 

 

その様子がこちら。

 

ぐし笛の一号機。

「これおもろい」アンテナに引っかかったこいつは、一番鳴りが良い。

 

 

できた時(というかいい音が鳴るなあと気づいた時)、これはこれでおもしろいな〜〜!と思って、暇さえあればピュンピュン鳴らして振り回して遊んでいた。

男の子は棒状のものが手元にあれば掴んで振り回してしまう生き物である。気づけば音を鳴らすのが上手になっていた = 身体化していた。ブン!と振り回して演奏するこれは楽器になるのでは、、、!と思いはじめた。

 

 

こんなん作ったんすよ〜〜!って身近な人にデモンストレーションしつつ解説していたら、意外とおもしろがってくれる人もいた。どうやら、振り回して音を鳴らす単純なものだが、人によってはコツを掴むのに時間がかかる場合があるようである。

ここで、楽器となりそうなこと、研究・開発する余地があることがわかったので、ちゃんと検証して作ってみることにした。まずはこの物体に命名することにした。

 

命名:ぐし笛

 

これは3つ目につくったもの。2つ目は鳴ったがまあまあだった。

これはボディ細め、スリットも長めで細め。高い音が鳴る。

限度はあるが、スリットの面積が大きいと音が鳴りやすいことがわかった。

長いスリットでなはく、縦長の穴(1:2の比率)でも良いことがわかった。おそらく、1つの穴から2つの風の通り道を作ってあげるといいんだと思うボディに入る。

スリットに空気が入る量が鳴りやすさに影響することがわかった。 

 

 

ボディを長くしてみよう 

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6つ目くらい。

スリットに空気が入る量が多くなると、大きな音が鳴ることがわかったので、単純にボディを長くした。おそらく1mくらい。

リーチが長くなるので空気と触れて発音しやすくなった。欠点はコントロールがしにくいこと。でも慣れれば上手に鳴らせることができるはず。しかし危険。

 

 

 

ボディを太くしてみよう

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これは10つ目くらい。

電動の工具(ボール盤、リューター、電動ドリル)で効率化と精密さが向上したが、材料としての竹に慣れてないこともあって、途中で割けちゃったり、削りすぎちゃったりして失敗した。

 

こいつはこれまでより太い竹を入手することができたので作ることができた。スリットも、穴っぽいものにした。これはこれで鳴る。中音域のいい感じの音が鳴ることがわかった。高音のピィッ!って音もいいけど、この(太)のふぉっ!って音も味わい深い。

ボディが太いので、音も太くなった。 

 

完成

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バリンビンとぐし笛

 

一番鳴りが良いのができたので、ひとまず竹のぐし笛は完成しました。

(現時点では)大きな音が鳴るわけではないので、楽器というよりはおもちゃに近い。演奏などに使う場合はガンマイクなどを使って集音するとか一手間が必要。

異なる筒状の素材を使うともっといい音がでるかもしれないし、ぐし笛自体を拡張する余地を発見することができるかもしれない。金属バットなどで作ってみようと思う(真似しないでね)

 

 

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リファレンス

 

竹の楽器、とくにぐし笛を制作するにあたって、大変リスペクトしている関根秀樹先生の書籍や取り組みを大幅に参考にした。蟲笛と同じ原理で鳴る楽器である、ぴよぴよヌンチャクは関根先生の代表楽器である。

 

ぴよぴよヌンチャク 

youtu.be

 

むちゃくちゃかっこいい。ぴよぴよヌンチャクは以下の書籍から知った。

その他、竹を使った楽器(竹の楽器以外も)が多く紹介されている。 作り方から仕組みまでとても丁寧に記載されている名著。

 

民族楽器をつくる

民族楽器をつくる

 

 

 

楽器づくりではないけど、ものをつくるマインドはこの本からも影響を受けた。

この書籍によると、僕はほぼ縄文人らしい。

 

 

 

次は竹で作ったエオリアンハープについて書く。